花田旅館のモデルは小泉八雲が寄宿した富田旅館
富田旅館は「大橋館」に
2025年9月29日月曜日から放送が始まるNHKの朝ドラ「ばけばけ」でトミー・バストウさん扮するレフカダ・ヘブンが、松江で寄宿する花田旅館(花田屋)は、明治時代中期に松江に実在し、来日後の小泉八雲が寄宿した富田旅館がモデルになっています。
当時の富田旅館は、後年に事業承継されて現在は「松江しんじ湖温泉 大橋館」として営業しています。
花田旅館の人々のモデルは富田旅館の人々
NHKが2025年9月11日に公開した朝ドラ「ばけばけ」に出演する人物たちとして、花田旅館の人たちを紹介しています。これらの人々は実在していた富田旅館の人々と考えられます。
ばけばけでの役名 | キャスト | 役柄 | モデル |
---|---|---|---|
花田平太 (はなたへい) | 生瀬勝久 | 花田旅館の主人 | 富田太平 (とみたたへい) |
花田ツル (はなだつる) | 池谷のぶえ | 花田旅館の女将 | 富田ツネ (とみたつね) |
ウメ (うめ) | 野内まる | 花田旅館の女中 | お信 (おのぶ) |
富田旅館と小泉八雲
富田旅館から見える松江の風景を好んだ小泉八雲
小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)が、松江にある島根県尋常中学校(現在の島根県立松江北高等学校)の英語教師として赴任し、寄宿した富田旅館は大橋川に面しており、景色の多くを占めるのは宍道湖。そして向こうに霞んで見えるのは、「出雲富士」とも呼ばれる大山(だいせん)。
これらの松江を象徴する景色を初めて見た小泉八雲は、大変感激したと言われています。
日本食を箸で食べ風呂を使っていた小泉八雲
当時の富田旅館は、必ずしも「松江一」と言われるほどの豪華な老舗旅館ではありませんでした。そのため富田旅館が提供する食事の献立は魚と野菜を使ったものが基本。
それでも小泉八雲は箸を使って、糸こんにゃく以外は日本人客と同じもの食べたそうです。ただ八雲にとって魚の骨を取って身の部分だけを食べることは難しく、いつも女中のノブに取らせていたと言われています。
また入浴についても日本人客と同じお風呂を使っていました。ただ八雲は風呂が熱かった場合、「地獄、地獄」と叫んで水を足して使っていたようです。
富田旅館が繋いだ小泉八雲と小泉セツの縁
小泉八雲は主人の富田太平と女将の富田ツネが提供する宿泊サービスを気に入っていたようです。
しかし最終的には松江に滞在しているにも関わらず富田旅館を出て行き、女将のツネが紹介した近くの借家に引っ越すことになります。
言葉が通じないことでツネやノブが苦労している様子を見て、小泉八雲の方から申し出て借家に移り住んだようです。ただ三度の食事については、富田旅館から運ばれていました。
それでも暖かい気候を好む小泉八雲にとって、松江の寒さは厳しく風邪を引いた時などは、誰かの世話が必要でした。見かねたツネは、八雲のために借家で世話をしてくれる女中として、のちに妻となる小泉セツ(「ばけばけ」の松野トキのモデル)に白羽の矢を立てることになります。
そのほかの小泉八雲と富田旅館のエピソード
そのほか小泉八雲と富田旅館のエピソードである、「八雲の酔っ払い伝説」や「エッグスフーフー」については、「松江しんじ湖温泉 大橋館」のWebサイトで紹介されています。合わせて参考にしてください。
