朝ドラ ばけばけ 雨清水タエのモデル
雨清水タエとは
2025年後期NHK朝ドラ「ばけばけ」に登場する、北川景子さん扮する雨清水タエ(うしみずたえ)とは、髙石あかりさん演じるヒロイン・松野トキの親戚にあたる人物です。
雨清水タエのモデルは実在した小泉セツの実母である、小泉チエ(こいずみちえ)(1838年〜1912年)であると考えられます。
ばけばけ 雨清水タエの役柄
松江でも随一の名家に生まれ、大勢の女中たちに囲まれながら何不自由なく育った。凛とした気品と厳しさを兼ね備える。親戚であるトキにも、武士の娘としての品格を求め、礼儀作法やお茶など武家の娘としての教養を厳しく教えている。
雨清水タエ 役 北川景子さんプロフィール
1986年生まれ、兵庫県出身。NHKでは、大河ドラマ『西郷どん』、『フェイクニュース』、『輝く女「北川景子」』『北川景子 垂直タイムトラベル in ローマ』などに出演。
小泉チエとはどんな人物だったのか
小泉チエの実家は出雲松平藩の家老の家柄だった
雨清水タエ役の北川景子さんは自身の役柄について「松江藩で代々家老を務めた家の出で、三十人近い奉公人にかしづかれ育ったお姫様」とコメントされています。
実在した小泉チエも30人近い奉公人たちに囲まれて育ったお姫様でした。実家は「千鳥城」と言われる松江城の三の丸御殿の向かいにある広大な屋敷でだったそうです。
さらに小泉チエの実家である塩見家は出雲松平藩において代々、千四百石の高禄を食み、藩の家老を輩出する家でした。小泉セツの養家である稲垣家(百石)や、生家である小泉家(三百石)さえよりもはるか上を行く名門の家系だったのです。
小泉チエの逸話
実は小泉チエは小泉湊と結婚する1年前に、ある高位にある侍と結婚しました。しかし婚礼の夜、新郎は何時になっても寝所にはやってきません。そのとき庭で不審な物音がします。
懐剣を携えた小泉チエは侍女を従えて庭を確認すると、目の前には男女一組の死体が。女性の死体には首がなく、男性の死体には脇差で腹を一文字にかっさばいたあとがありました。どうやら女性はその家の侍女で、男性は小泉チエの新郎で2人は不義密通をしていたようです。
凄惨な現場に突然遭遇したにも関わらず、小泉チエは取り乱すこともなく、婚家で義母に当たる女性に落ち着き払って現場の状況を報告し、次の指示を仰いだと言われています。
小泉チエが明治維新後に落ちぶれた理由
このように上級武士の家に生まれた女性は、いざ一大事が起こったときに大勢の家来たちのリーダーとなれるよう、小さい時から躾けられていることが普通でした。
反面、日常生活のための労働などは身分が低い人間がすることであり、小泉チエのような上級武士の家系に育ったひとたちは炊事・洗濯・掃除などをすることは卑しいとして躾けられています。
そのため明治維新で武士の世の中が終わると最も苦労したのは、武士として身分の低い足軽の家系に生まれた西田千太郎のような人たちよりも、塩見家のような上級武士の家に生まれた人たちだったと言われています。
北川景子さんが雨清水タエ役について述べているように、上級武士の家に育った人たちのほとんどは、明治時代の価値観に合わせることができず、乞食にまで落ちぶれることも珍しくなかったそうです。