小泉藤三郎は他人のことをあてにする性格の持ち主だった
ばけばけの雨清水三之丞のモデル: 小泉藤三郎
NHKの朝ドラ「ばけばけ」で板垣李光人さんが演じる雨清水三之丞に注目が集まっています。
「ばけばけ」の第3週「ヨーコソ、マツノケヘ」では、実は雨清水三之丞は、ヒロイン・松野トキ(髙石あかり)にとって実の弟であることが明らかになったからです。
ヒロイン・松野トキのモデルとなった小泉セツにも実の弟が2人いて、そのうちの小泉藤三郎(こいずみとうざぶろう)が雨清水三之丞のモデルと考えられます。
その小泉藤三郎とどんな人物でどんな性格の持ち主だったのでしょうか?
鳥のことしか興味がなかった小泉藤三郎
小泉藤三郎は、小泉家の家業には全く関心がなく、ひたすら鳥を捕まえては繁殖させることだけしか関心がなかったと言われています。
リウマチで寝込むようになった父・小泉湊は小泉家の先行きを案じて、鳥のことしか興味を示さない小泉藤三郎に対して烈火のごとく怒ったと伝えられています。
ある朝、小泉湊は、寝床から動けぬほどに病む身でありながら、何か物に憑かれたかのように突然立ち上がり、柱に掛けてあった馬の鞭を執るや、南側の廊下によろけ出て、鳥籠を縁から蹴落とし、藤三郎の襟首をつかんで、「おのれ、親不孝者め。そちの腐れ根性を打ちすえてくれるわ」と叫ぶとともに、滅多打ちに鞭を振い出した。
長谷川洋二「八雲の妻 小泉セツの生涯」今井書店 102ページ
同様のエピソードは小泉八雲・セツ夫妻の長男・小泉一雄が著作の「父小泉八雲」でも記されています。
芝居好きで舞台役者にもなった小泉藤三郎
その小泉一雄によると、叔父にあたる「藤さん」こと小泉藤三郎をこのように評しています。
藤さんは背の低い角張った男であったが、色白で切長の眼、鼻筋の通った所謂好男子であった。それにもかかわらず頗る艶聞の少い男であった。女は嫌いではないが怖いといって常に恐れていた。が、これはむしろ女の方で彼の病癖を知って寄りつかなかったらしい。四十代で死ぬまで独身であった。彼は剣舞が上手だった。芝居は大好であった。
小泉一雄. 父小泉八雲 後篇 (p. 51). (Function). Kindle Edition.
芝居が大好きであったことから、川上音次郎が主催する新派の舞台で役者として出演することもあったようです。しかしその舞台を見に行った親戚一同は、藤三郎の演技がぎこちなくてヒヤヒヤさせられたようです。
他人のことをあてにする性格の持ち主
さらに小泉八雲・セツの一家が東京に移り住んだあと、小泉藤三郎は東京に現れて無期限でその家に置いてもらい、良い就職口を斡旋してもらおうとしたこともあったそうです。
「父小泉八雲」を読んでいると小泉藤三郎のかなりゆるく、他人のことをあてにする性格の持ち主だったと思わざるを得ません。
「ばけばけ」の雨清水三之丞は仕事を振られても何もできませんでした。しかし三之丞は雨清水家の将来を案じているだけ、実在した小泉藤三郎よりはよくできた人物であると言えるでしょう。
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