朝ドラ ばけばけ なみのモデル
なみとは
2025年後期NHK朝ドラ「ばけばけ」に登場する、さとうほなみさん扮するなみとは、髙石あかりさん演じるヒロイン・松野トキのご近所さんで、没落して引っ越してきたトキのことを何かと気にかける存在です。
なみのモデルは、松野トキのモデルとなった小泉セツが八重垣神社の鏡の池で一緒に恋占いを行った女友だちの1人であると考えられます。
ばけばけ なみの役柄
農家の家に生まれ、八人兄弟の長女として貧しい暮らしを支えてきた。借金を背負った家族を養うために天国遊郭の遊女となる。境遇に沈まない、明るくたくましい女性。没落して近くに引っ越してきたトキをなにかと気にかける。
八重垣神社にある鏡の池を良縁を願った2人の女友だち
八重垣神社の鏡の池とは
八重垣神社は島根県松江市にあり、素盞嗚尊(すさのおのみこと)と稲田姫命(いなだひめのみこと)の御二柱を主祭神とした縁結びの神社です。
この八重垣神社奥の院には鏡の池があり、稲田姫命の御霊魂が深く滲透した池とされ、ご縁の遅速を占う池として知られています。
鏡の池で良縁をお願いした小泉セツと2人の女友だち
三人は、古くからの習わしに従って、それぞれ紙で小さな舟を作り、一厘銭を一枚ずつ載せて水に浮かべた。彼女たちはいずれも、間もなく紙に水が染みて一厘銭の重みで舟が沈み、池の底の蠑螈(いもり)が近づいて来て舟に触れるかどうかと、固唾を呑んで見守った。それは、もし蠑螈が自分の舟に触れてくれれば、神社の縁結びの神々が良縁を請け負ってくれたと、信ずることが出来たからである。セツの二人の友達の舟は、両方ともすぐに、浮かべた岸からごく近いところに沈んだ。一方、セツの舟はなかなか沈まず、浮かべた岸から遠く離れた、池のずっと端の方へ流れて行ってから、ようやく沈んだのであった。
長谷川洋二「八雲の妻 小泉セツの生涯」今井書店 98ページより
八重垣神社鏡の池のエピソードは3冊の本で紹介
実はこの鏡の池でのエピソードが語られているのは、「八雲の妻 小泉セツの生涯」だけではありません。小泉セツとラフカディオ・ハーンの生涯を簡潔に著した「小説小泉セツ 」や、小泉セツとハーンが出会ってから松江から熊本に引っ越しするまでの生活を著した「へルンとセツ」でも語られています。
前者の「小説小泉セツ」では2人の女友だちを旧・松江藩で中老をしていた娘のキクとカナとし、後者の「へルンとセツ」では、小泉セツが勤める機織り会社の同僚であるキクとヨシという女性として登場させています。
2人の女ともだちの1人 ≒ ばけばけの「なみ」
つまり結婚前の小泉セツと2人の女友だちが八重垣神社にお参りしたという話は、それだけ有名でセツとハーンの出会いにおいて欠かせないエピソードとなっているということです。
朝ドラ「ばけばけ」は実在の小泉セツをモデルにしていますが、あくまでフィクションです。ドラマを面白くするためには、「小泉セツの2人の女ともだち」のうちの1人を「遊女」とするのも「あり」でしょう。
ちなみに朝ドラ「ばけばけ」における「小泉セツのもう1人の女友だち」は、円井わんさんが扮する野津サワであると考えられます。