朝ドラ ばけばけ 花田ツル(はなだつる)のモデル
花田ツルとは
2025年9月29日から放送が始まるNHKの朝ドラ「ばけばけ」にキャストされている池谷のぶえさんが演じる花田ツル(はなだつる)とは、小泉八雲をモデルとしているレフカダ・ヘブン(トミー・バストウ)が寄宿する花田旅館の女将です。
この花田ツルは、明治時代中期の島根県松江に実際に営業していた富田旅館の女将であった富田ツネ(とみたつね)をモデルにしていると考えられます。
ばけばけ 花田ツルの役柄
平太と共に花田旅館を切り盛りする女将さん。トキのことをとても可愛がっている。カラッとしたたくましさが、トキの心の支えになっている。
池谷のぶえさん プロフィール
1971年生まれ、茨城県出身。NHKでは『バッテリー』、連続テレビ小説『瞳』、『ひよっこ』、『半分、青い』ほかに出演。
富田ツネと小泉八雲
松江の富田旅館に寄宿した小泉八雲
朝ドラ「ばけばけ」ではレフカダ・ヘブンは島根県知事である江藤安宗(佐野史郎)から招聘されて、松江中学の英語教師として赴任します。そのとき寄宿する宿が花田旅館という設定です。
実在した小泉八雲もラフカディオ・ハーンとして当時、島根県知事だった籠手田安定から招聘を受け、1890(明治23)年、島根県尋常中学校に英語教師として赴任。
そのとき寄宿したのが、大橋川に面し景色の大半が宍道湖を占める富田旅館でした。
小泉八雲・富田ツネ・お信の3人で一畑薬師にも参詣
ラフカディオ・ハーンは、富田旅館が提供する宿泊サービスにおおむね満足し、しかも女将のツネ・女中のお信と共に行楽を兼ねて一畑薬師(いちばたやくし)へ参詣することもあったようです。
ハーンらが行楽の地として一畑薬師を選んだ理由は、古来より目を患う者がお参りすると聞いていたからです。
小泉八雲に小泉セツを紹介した富田ツネ
富田旅館を出て行った小泉八雲
実際、富田旅館の女中・お信は目を痛めており、そのせいかよく目を細めていました。のちにハーンは自費でもって松江の眼科医・西川自省(にしかわじしょう)にお信の目を診察してもらい、完治させています。
しかしお信の目について真剣に取り合おうとしなかった主人・富田太平の態度に我慢がならないハーンは、富田旅館を出て、松江市の末次本町にある織原家の借家に引っ越しをするこことになります。
「士族の娘」 小泉セツを紹介
織原家の借家に移ったハーンですが、三度の食事と風呂の世話をしてもらうために、富田旅館から女中の派遣は受けていました。
ですがやがてこの女中たちの派遣を巡っても、ハーンと富田旅館の関係は険悪なものになっていきます。
そこで女将である富田ツネは、女中のお信には知り合いとして士族の娘がいることが聞き、その女性を住み込み女中としてハーンに紹介。その女性こそが小泉セツだったのです。
小泉セツ 初対面の印象
ツネから小泉セツを紹介されるものの、ハーンは当初セツが小泉セツが士族の出身であることを信じませんでした。このエピソードについては「八雲の妻 小泉セツの生涯」において、富田ツネ本人の談話が残されています。
ご同棲の翌日、私ははじめて京店のお宅に伺いますと、節子様の手足が華奢でなく、これは士族のお嬢様ではないと先生は大不機嫌で、私に向ってセツは百姓の娘だ、手足が太い、おツネさんは自分を欺す、士族でないと、度々の小言がありましたので、これには私も閉口致しまして種々弁明しましても、先生はなかなか聴き入れませんでしたが、しかし士族の名家のお嬢さんに間違いありませんので間もなく万事目出度く納まりました。
長谷川洋二「八雲の妻 小泉セツの生涯」 潮文庫 133ページ
このときハーンが小泉セツの手足を見て「太い」「華奢でない」と感じたのは、その通りでしょう。
当時、セツが養家の稲垣家だけでなく実家の小泉家の家計を支えるために、機織りや洋裁など様々な賃仕事に明け暮れ、必然的に労働に適した体つきになっていたと考えられます。
朝ドラ ばけばけ モデル 関連記事
ばけばけ モデル一覧
花田ツル以外にも「ばけばけ」の登場人物は、小泉八雲や小泉セツと関わりが深かった人物たちがモデルになっています。その人物たちのモデルの一覧は下記の記事にまとめています。
