やなせたかし 1919年生まれ 小松暢 1918年生まれ
やなせたかしさんとその妻・小松暢(こまつのぶ)さんとの年の差は1才くらいでしょう。やなせたかしさんは1919(大正8)年2月6日生まれで、その妻・小松暢さんは1918(大正7)年生まれです。
やなせたかしさんの生年月日は自著「アンパンマンの遺書」で、小松暢さんについてはNHKが朝ドラ「あんぱん」の制作が発表されたときに生年がそれぞれ公開されています。
やなせたかし 小松暢 ともに大正生まれで戦前戦中世代
やなせたかしさんは1919年生まれ、小松暢さん1918年生まれの年齢差1才ということでどちらも20代前半の青春時代を、日中戦争・太平洋戦争という2つの大きな戦争を経験したという世代です。
やなせたかしは陸軍に 弟・柳瀬千尋は海軍に
やなせたかしさんは1940年には日中戦争の激化に伴い徴兵され、小倉にある陸軍野戦重砲連隊に従軍し、中国の上海で日本の敗戦を知ったと言います。
またやなせたかしさんの弟である柳瀬千尋さんは、京都帝国大学の学生から海軍士官として出征し、台湾とフィリピンの間にあるバシー海峡で駆逐艦「呉竹」の乗艦中に敵襲に遭い、戦死したそうです。
一方、実在した小松暢さんは戦時中どのように過ごしたかは明らかになっていませんが、NHKは小松暢さんがモデルとなっている朝ドラ「あんぱん」のヒロイン・朝田のぶ(今田美桜)を「妄信的な軍国少女」として描いています。
やなせたかし「正義は或る日突然逆転する」世代
やなせたかしさんも小松暢さんも大正の中頃の生まれで、いわゆる「戦前生まれの世代」です。この世代は中国やアメリカとの大きな戦争で敗戦してさまざまな苦労をされた世代です。
「戦争に駆り出された」とか「食料をはじめとした生活必需品でさえ手に入れるのに毎日苦労した」とかさまざまな苦労を経験しましたが、その1つとして「正義」に対する捉え方でしょう。
このことはやなせたかしさんの「アンパンマンの遺書」でも、NHKが朝ドラ「あんぱん」の制作を発表したときに脚本担当の中園ミホさんも同じことを述べています。
子供の時から忠君愛国の思想で育てられ、天皇は神で、日本の戦争は聖戦で、正義の戦いと言われればそのとおりと思っていた。正義のためのに戦うのだから生命をすてるのも仕方がないと思った。
しかし正義のための戦いなんてどこにもないのだ。
正義は或る日突然逆転する。
正義は信じがたい。
ぼくは骨身に徹してこのことを知った。これが戦後のぼくの思想の基本になる。やなせたかし「アンパンマンの遺書」 岩波現代文庫 70ページ より
「正義は逆転することがある。信じがたいことだが。
じゃあ、逆転しない正義とは何か?
飢えて死にそうな人がいれば、一切れのパンをあげることだ」
これはアンパンマンの神髄であり、二人が逆境や失敗をいくつも乗り越えて、つかんだ人生のテーマです。
やなせたかし 2013年 小松暢 1993年に亡くなる
ちなみにやなせたかしさんが亡くなった年は2013(平成25)年で、小松暢さんが亡くなった年は1993年(平成5)年です。やなせたかしさんの享年94歳で、小松暢さんの享年は75歳でした。