MENU
本ページはプロモーションが含まれています

やなせたかし 弟 京都帝国大学法学部を1943年9月に卒業

yanasetakashi_otouto_daigaku
目次

やなせたかしさんの弟・柳瀬千尋さんと京都帝国大学

柳瀬千尋さんは旧制高知高等学校から京都帝国大学法学部へ進学

漫画家・やなせたかしさんの弟である柳瀬千尋さんは、旧制・高知高等学校(現在の高知大学人文社会学部)を卒業された後、1941(昭和16)年4月に京都帝国大学法学部(現在の京都大学法学部)に入学されています。

翌朝、柳井家のダイニングで家族が朝食をとっていると、千尋が突然手を止めて切り出した。 「お父さん、お話があります。わしは医学ではのうて、法学を学ぶことにしました」  千尋の突然の決意表明に、千代子と登美子はもちろん、嵩も驚いてあんぐりと口を開けた。 「貧しゅうて今日食べるもんもない子どもらあや、社会で虐げられた女性らあ、そういう人らあを法の力で救いたいがです」

中園 ミホ; 後藤 美奈. NHK連続テレビ小説 あんぱん 上 (p. 67). (Function). Kindle Edition.

上記の引用文は、柳井千尋(中沢元紀)は法学の道を志したいと伯父・柳井寛の前でお願いをする描写です。この描写は柳井千尋のモデルとなった柳瀬千尋さんが、高知高等学校から京都帝国大学法学部に進学したという実際の話を反映させていると考えられます。

柳瀬千尋さんはなぜ京都の地を選んだのか?

高知高等学校といえば高知県中の秀才が集まり、その卒業生たちは東京帝国大学(現在の東京大学)や神戸商業大学(現在の神戸大学)など全国各地の名門大学へと進学していきます。

柳瀬千尋さんはなぜ京都帝国大学に進学したのでしょうか?柳瀬千尋さんが京都の地にこだわった理由を示す文献・資料などは見つかっていません。

ただ養父・柳瀬寛さんは、医学生として京都府立医学専門学校(現在の京都府立医科大学)に通い、養母の柳瀬キミさんが京都出身でもありました。夫婦は京都の地で出会い、結婚をされています。

柳瀬千尋さんは自分を育ててくれた養父母が結ばれた京都の地で進学することに、一種の縁を感じていたのかもしれません。

柳瀬千尋さんの短かった大学生活

大学の修業年限が2年6ヶ月に短縮

戦前の大学は今の大学と違って三年制です。本来であれば柳瀬千尋さんは、1944(昭和19)年3月に卒業するはずでした。

しかし1941(昭和16)年10月16日に公布された「大学学部等の在学年限又は修業年限の臨時短縮による勅令」と「兵役法改正に関する勅令」によって、将来の兵力不足に備えて大学・専門学校の修業年限を6ヶ月短縮されることが決まります。

柳瀬千尋さんは、京都帝国大学法学部を卒業する年月が、1943(昭和18)年9月と決められてしまいました。

京都帝国大学卒業後は海軍予備学生に志願

京都帝国大学で柳瀬千尋さんの卒業式が行われたのは、1943(昭和18)9月23日でしたが、その前日に東條英機首相は文科系学生の徴兵延期を停止を明らかにします。いわゆる「学徒出陣」です。

出征する学生たちのために、東京では明治神宮外苑競技場で、京都では平安神宮外苑で学徒出陣壮行式が挙行されました。

NHK連続テレビ小説 あんぱん 上」で海軍少尉に任官した柳井千尋は、兄・柳井崇(北村匠海)に対して大学の学生でも軍隊に志願せざるを得ない雰囲気があったと語りますが、柳瀬千尋さんの短い生涯を描いた「慟哭の海峡」でも、リベラルな雰囲気を残した京都帝国大学でさえ誰もが戦争を受け入れざるを得なかったと述べています。

東條によるその宣言の翌日、京都帝大の本部大ホールで、厳粛な雰囲気の中で卒業式が挙行された。もはや送る側も、送られる側も、等しく戦場への道を進まなければならなくなったのである。

門田隆将「慟哭の海峡」 角川書店 169ページ

こうした雰囲気にあって柳瀬千尋さんは、京都帝国大学を卒業した後、海軍予備学生を志願して、海軍の初級士官を短期間で養成する武山海兵団(神奈川県三浦郡武山村)に入団します。

やなせたかしさんの弟・柳瀬千尋さん 関連記事

柳瀬千尋 戦死

やなせたかし 弟 死因

柳井千尋 モデル

著:中園 ミホ, 著:後藤 美奈
¥1,815 (2025/04/21 22:08時点 | Amazon調べ)
著:中園 ミホ, 監修:NHKドラマ制作班, 編集:NHK出版
¥1,430 (2025/04/21 22:08時点 | Amazon調べ)
著:門田 隆将
¥871 (2025/04/25 13:24時点 | Amazon調べ)
yanasetakashi_otouto_daigaku

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次