朝ドラ あんぱんの「高校」 高知第一高等学校とは
旧制・高知高等学校は現在の高知大学人文社会学部に相当
NHKの2025年前期朝ドラ「あんぱん」の第4週「何をして生きるのか」で、柳井崇(北村匠海)が受験に失敗する高知第一高等学校のモデルは、旧制・高知高等学校です。旧制・高知高等学校は、現在の高知大学人文社会学部の前身となった旧制高校です。
戦前の学制において高等学校の修業年限は3年で、ここでの学習は現在の大学1年生・2年生で教わる教養課程に相当します。この旧制高校を卒業した後に大学の各学部(3年の専門課程)への受験資格を得ることができます。
旧制の高等学校に進学することは、東京帝国大学や京都帝国大学などの名門大学に進学するための準備課程であり、その学生たちは、今の高校生とは比べものにならないくらい「エリート」であるとみなされました。
あんぱんの柳井崇は高知第一高等学校の受験に失敗
朝ドラ「あんぱん」の柳井崇は、将来は伯父・柳井寛(竹野内豊)が経営する「柳井医院」を継ぐことを見込まれて、高知第一高等学校の受験にチャレンジします。
「そうや。崇くんに勉強教えてもろうたら?」
「えっ、崇に?小学校の時は首席やったけんど…」
「高知第一高等学校受けるがやってね。ゆくゆくは寛先生の後を継ぐって崇くんのお母さん言いよったで」
「たまるかー!崇、お医者さん目指しゆうがか」NHK連続テレビ小説 あんぱん 上 Kindle版 69ページより
ですが崇は高知第一高等学校の受験に失敗し、入学することをあきらめます。
やなせたかしさんも旧制高知高校の受験に失敗
実は柳井崇が高等学校の受験に失敗するという話は、ほぼ実話に基づいています。
実在のやなせたかしさんも高知県立城東中学校4年生の時に、旧制高知高校を受験して失敗します。受験の理由は伯父の柳瀬寛さんに「柳瀬医院」を継ぐことを打診されたからという、受動的なものでした。
ぼくは伯父の部屋に呼ばれた。
「崇どうする。医者の学校に行く気はないか。学費は出す。病院もお前にゆずってもいい」
「すみません。医者にはなりません」
「そうかしかたがない」
あっさりしたものだった。心の中でぼくは申しわけないと思った。しかしいくら今から頑張っても、とても医大には合格できそうにない。数学が零点ではどうしようもない。
(中略)
四年生の時に高知高校を受験したが、予想どおり不合格だった。やなせたかし「アンパンマンの遺書」岩波現代文庫 19ページから20ページ
やなせたかしさんは、高知高校の受験に失敗した後、1年の浪人期間を経て東京高等工芸学校図案科(現在の千葉大学工学部デザインコース)に入学します。
ちなみに実際に旧制高知高校に入学できたのは、やなせたかしさんの弟である柳瀬千尋さんの方でした。
あんぱんのモデルとなった学校
あんぱん 中学校
あんぱん 高等女学校
あんぱん 女子師範学校
あんぱん 芸術学校
