朝ドラ ばけばけ 松野フミのモデル
松野フミとは
2025年後期NHK朝ドラ「ばけばけ」に登場する、池脇千鶴さん扮する松野フミ(まつのふみ)とは、髙石あかりさん演じるヒロイン・松野トキの母です。
松野フミのモデルは実在した小泉セツの養母である、稲垣トミ(いながきとみ)(1834~1912年)であると考えられます。
ばけばけ 松野フミの役柄
出雲大社の上官の家で育ち、出雲の神々の物語や生霊・死霊の話、目に見えないモノの話に詳しく、トキにもよくお話を聞かせてあげる。トキのお話好きはフミ譲り。
トキの幸せを誰よりも願っている。時代の変化に戸惑いながらも、内職で家計を支えるしっかり者で、トキと松野の男たちを優しく見つめる。
池脇千鶴さん プロフィール
1981年生まれ、大阪府出身。2001年、連続テレビ小説『ほんまもん』で主演。その後、23時連続ドラマ『火消し屋小町』、大河ドラマ『風林火山』、土曜ドラマ『刑事の現場』などに出演し好評を博した。12年、ドラマ10『タイトロープの女』で主演し、実家の町工場の再生にかける主人公を熱演した。
稲垣トミとはどんな人物だったのか?
稲垣トミは出雲大社上官・高浜家の出身
「八雲の妻 小泉セツの生涯」によると、トミは元々、百石取りの原忠兵衛という武士の娘でしたが、幼少の頃に杵築にある高浜家の養女となり成人したとのことです。
高浜家は出雲大社の社家で代々、上官(じょうかん)と言われる高級神官を務める家です。そのためトミは小泉セツに聞かせる話をたくさん持っていたと考えられます。
出雲の神々の物語は無論のこと、人々の生活に関わりを持つ生霊や死霊(しりょう)の話から、祈祷や神楽(かぐら)のあれこれ、さらには出雲大社の裏の桐の木にとまった鳳凰(ほうおう)の話に至るまで。「魂について(『知られぬ日本の面影』所収」)や「阿弥陀寺の比丘尼(びくに)『心』所収」などは、彼女の話をセツが語って成ったハーンの作品である
長谷川洋二「八雲の妻 小泉セツの生涯」今井書店 43ページより
こうした事実からNHKも松野フミの役柄を「出雲大社の上官の家で育ち、出雲の神々の物語や生霊・死霊の話、目に見えないモノの話に詳しい」という点を強調していると考えられます。
稲垣家の家計を内職で支えた
百石取りの松江藩士である稲垣金十郎の妻であった稲垣トミの生活は、「文明開化」と言われた明治の世が進むにつれ悪化します。
夫・稲垣金十郎は1874(明治7)年から1875(明治8)年にかけて明治政府によって家禄奉還の政策によって、6年分の家禄を受け取って事業を手に出すも失敗。
また義理の父である稲垣万右衛門は明治になっても古武士然とした気位の高さを改めず、外で働いてお金を稼ぐということは全くしません。
こうして稲垣トミは裁縫の内職をすることによって、養女である小泉セツが機織り女工やラフカディオ・ハーン(小泉八雲)の住み込み女中として稼ぐのと共に、稲垣家の家計を支えていました。