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小泉セツ 養父 死因は胃潰瘍 稲垣金十郎の最期

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稲垣金十郎と胃潰瘍

稲垣金十郎の死因は胃潰瘍

NHKの2025年後期朝ドラ「ばけばけ」で岡部たかしさんが扮する松野司之介のモデルとなった、小泉セツの養父・稲垣金十郎の死因は胃潰瘍であると考えられます。

晩年の稲垣金十郎は、東京の牛込富久町(現在の東京都新宿区富久町)で、東京帝国大学文科大学の講師となった小泉八雲・セツ夫妻の家族たちと同居していて、1900(明治33)年に亡くなります。享年59。

稲垣金十郎の晩年

事業に失敗した1876(明治8)年ごろから、養女の小泉セツ(朝ドラ「ばけばけ」松野トキのモデル)が小泉八雲と結婚する1891(明治24)年ごろまで、貧窮にあえいでいた稲垣金十郎でしたが、「八雲の妻 小泉セツの生涯」によると晩年は穏やかな生活を送っていたようです。

一方、金十郎は、瘤寺の林との間にある草地に出、家族一同の見守る中で、見事な弓の腕前を見せたりもしていた。しかし、暇を持て余し気味の日々を送る間に、甘い物好きが祟(たた)って胃潰瘍を患うようになる。その年の秋には、毎日のようにハーンの遠出の散歩に付き従い、翌年の夏には、ハーン・一雄・新美資良の焼津行きに同行したが、帰宅とともに床に伏す身となった。

長谷川洋二「八雲の妻 小泉セツの生涯」今井書店 201ページ

自らも一雄の3人の孫に恵まれ、彼らがもう少し成長したら起倒流の柔術を教えてやると考えつつ帰らぬ人となりました。

19世紀後半の胃潰瘍のリスク

胃潰瘍は「死にいたる病」の1つだった

現在の日本の医療水準からすると稲垣金十郎が罹ったとされる胃潰瘍は、早期に適切な治療を受ければ「死にいたる病」とは考えにくい病気です。現代ではむしろ胃潰瘍の先にある胃がんの方が警戒されています。

ところが稲垣金十郎が亡くなった1900年代の医療水準からすると、胃潰瘍は「死にいたる病」の1つとして考えられていたようです。胃潰瘍の合併症(出血・穿孔など)は致命的な経過をたどることが珍しくありませんでした。

そもそも胃潰瘍の原因はピロリ菌(Helicobacter pylori)による感染が原因であることも知られておらず、また薬剤にしても胃酸抑制薬(PPIやH2ブロッカー)も存在していませんでした。

また胃潰瘍が悪化したときに施される外科手術にも限界があったようです。

医師に頻繁に診てもらえたとしても治療は困難だった

東京帝国大学で講師をしていた小泉八雲の月給は400円(八雲の松江時代の月給は100円)の高給取りであり、八雲から大切に遇されていた稲垣金十郎は、医療へのアクセスが悪かったとは考えられません。

しかしそ病気の根本原因がわからず、適切な治療薬剤が存在しなかった当時の医学では、胃潰瘍に罹った患者はたとえ華族・政府高官・実業家など特権階級に属する人であったとしても治すことは難しかったようです。

著:長谷川 洋二
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