「ワッサン」の歌詞 その意味と狙い
「ワッサン」の歌詞
NHKの2025年前期朝ドラ「あんぱん」の第6週「くるしむのか 愛するのか」のお話の中で「ワッサン」という歌が登場します。その「ワッサン」の歌詞は以下の通りです。
ワッサワッサワッサリンノ モンチキリンノホイ ヤカンリカンガ
ヒッキリモッキリノ リー シャツブラポー シャツブラポーワサキュー
リキュラカ リキュラカ チャカランポー ウツ ウツ パイ パイ
この歌は柳井崇(北村匠海)が進学した、東京高等芸術学校の図案科教師・座間晴斗(山寺宏一)が学生たちに歌うよう指示した歌です。この歌のモデルは、やなせたかしさんが実際に在学していた東京高等工芸学校図案科の歌です。
朝ドラ「あんぱん」で登場する歌を、やなせたかしさんの著作である「アンパンマンの遺書」と「人生なんて夢だけど」の両方で「ワッサン」の歌として紹介されています。
「ワッサン」歌詞の意味
何か呪文を唱えているような歌詞ですが、「ワッサン」の歌には何か意味があるのでしょうか?やなせたかしさんによると「人生なんて夢だけど」で「意味は不明」とおっしゃっています。
ただ、やなせたかしさんは「ワッサン」について学生時代に独自の解釈をされていて、歌詞の意味をこのように説明されています。
うれしいじゃないか
みんな騒ごうぜ
難しい理屈なんか茶化してしまえ
自由に生きよう ワサビ酒ひっかけ
シャッポふってブラボー
ウツな気分よバイバイ!やなせたかし「人生なんて夢だけど」フレーベル館 82ページ
当時の東京高等工芸学校は自由な気風を尊んだと聞きます。やなせたかしさんが、2.26事件(1936年)や日中戦争(1937〜1945年)に象徴される暗い世の中から、解放された気分に浸っていたことが理解できます。
なぜ「ワッサン」の歌詞が必要か?「教育勅語」・「ボウフラ」との対比
朝ドラ「あんぱん」の脚本家である中園ミホさんが、「ワッサン」の歌をドラマに登場させた理由は、ヒロイン・朝田のぶが女子師範学校で軍国主義に傾倒していく様子と対比をしたかったからではないでしょうか。
「ワッサン」の歌が登場する週の前週である、第5週「人生は喜ばせごっこ」では朝田のぶの前に軍国主義を体現した黒井雪子(瀧内公美)が登場します。黒井先生は学生たちの前で教育勅語を繰り返し暗唱するわ、小川うさ子(志田彩良)を薙刀の稽古中に「ボウフラ」と呼んで叱咤するわで、当時の戦時色を深く印象付ける「濃い登場人物」です。
第6週の「ワッサン」と第5週の「教育勅語」・「ボウフラ」との対比をすることで、中園ミホさんは暗に朝田のぶと柳井崇が次第に反りが合わなくなることを強調したかったと考えられます。
あんぱん 第5週 第6週 関連記事
あんぱん 第5週
あんぱん 第6週
あんぱん ボウフラ
あんぱん 芸術学校
あんぱん 座間晴斗
