あんぱん 島中隊長は本当に優しいのか?
あんぱんの島中隊長とは
NHKの朝ドラ「あんぱん」第11週「軍隊は大きらい、だけど」では、横田栄司さん扮する島という中隊長が登場します。島は崇が軍人勅諭を暗唱できたことに気を良くして、幹部候補生試験を受けるよう命令してくれます。
朝ドラ「あんぱん」に登場する柳井崇(北村匠海)のモデルとなったやなせたかしさんも軍隊在籍時に幹部候補生試験を受験させてもらい、「乙種合格」して下士官に進級しました。
やなせさんはその時のことを、中隊長に励まされたことも含めて「アンパンマンの遺書」でこのように回想されています。
さて、恥を言うが病馬棟の不寝番に立たされたぼくは、うっかりして居眠りして(今でもしょっちゅう居眠りをするが)、週番士官にとがめられ、それが原因で甲幹に不合格で乙幹になってしまった。(あとで中隊長に呼ばれて、成績は中くらいで合格だったが、居眠りが原因だ。気を落とさずに頑張れと訓示された。)
やなせ たかし. アンパンマンの遺書 (岩波現代文庫) (p. 60). (Function). Kindle Edition.
横田栄司さん プロフィール
東京都出身。NHKでは大河ドラマ「麒麟がくる(水野信元 役)」、「鎌倉殿の13人(和田義盛 役)」などに出演(公式プロフィールページ)
中隊は軍隊生活の単位でもあった
やなせたかしさんが旧日本陸軍に在籍していた当時、中隊とは分隊・小隊・大隊・連隊といった戦闘単位を表すだけでなく、1人1人の兵士たちにとっての生活単位を表すものでもありました。
まだ戦地に出ていない中隊は営内(兵舎)での最も大きな単位(120人から150人程度)で、兵士たちはその中隊の下の内務班で15名から20名程度に分かれ、下士官による監督指導のもと居住・食事・訓練をします。
中隊長は兵隊の人事権を握っていた
中隊長とは「中隊でもっとも偉い人」であるため、兵士たちの人事権も握っています。実際には中隊付きの准尉(下士官の最先任)と相談し、自分の中隊の中からどの兵士を上等兵候補者にするとか、あるいは幹部候補生試験を受けさせるか決めることができます。
また中隊長はどの兵隊を他の中隊へ転属させるか決めることができます。それがたとえ戦死覚悟の激戦地に向かうことがわかっている中隊であったとしてもです。
朝ドラ「あんぱん」では島中隊長はにこやかな感じで崇に接してくれますが、実際の中隊長は兵の生殺与奪権を握っている意味において、古兵や班長殿よりも恐ろしい存在であると言えるでしょう。
あんぱん 第11週 関連記事
あんぱん 11週
上等兵殿とは
戦友殿とは
班長殿とは
古兵殿とは
