朝ドラ ばけばけ 松野司之介のモデル
松野司之介とは
2025年後期NHK朝ドラ「ばけばけ」に登場する、岡部たかしさん扮する松野司之介(まつのつかさのすけ)とは、髙石あかりさん演じるヒロイン・松野トキの父です。
松野司之介のモデルは実在した小泉セツの養父である、稲垣金十郎(いながききんじゅうろう)(1832~1900年)であると考えられます。
ばけばけ 松野司之介の役柄
松江藩の上級武士だったが、時代が明治になると収入がなくなり、苦しい貧乏暮らしを送る。今まで武士をやってきたからお金の稼ぎ方なんてわからない・・・けど、愛する娘・トキと家族のために不器用ながらも奮闘する。トキに「かっこいい」と言われたい!
岡部たかしさん プロフィール
1972年生まれ、和歌山県出身。NHKでは連続テレビ小説『ひよっこ』、『なつぞら』、『エール』、大河ドラマ『真田丸』『青天を衝け』ほか。2024年前期連続テレビ小説『虎に翼』では、主人公の父・猪爪直言を演じる。
稲垣金十郎とはどんな人物だったのか
松江藩の百石取りの並士(なみし)
「八雲の妻 小泉セツの生涯」によると稲垣金十郎の稲垣家とは代々、百石の知行を受ける並士(なみし)の家で、松江藩にいた1,000人の士分のうち、上からおよそ450番目ほどの家格であったと言われています。
セツを稲垣家の遠い親戚である小泉家から養子として迎えた時は、稲垣金十郎は26才の善良な侍でした。「王政復古の大号令」の政変を前にして京都警備の任に当たりながらも、連日のように烏丸通りへ、家来を遣わして好物の菓子を買わせたそうです。
また妻・トミとの間には実子ができなかった分、セツを「お嬢(おじょ)」と呼んでとても可愛がったと言われています。
家禄奉還で事業に手を出すも失敗
しかし稲垣金十郎は「文明開化」と言われた明治の世が進むにつれ、没落していきます。
1874(明治7)年から1875(明治8)年にかけて明治政府が薦める旧・士族に対する家禄奉還に応じて、稲垣金十郎は6年分の米の支給を一括して受けて事業に乗り出すも、あっけなく失敗します。生き馬の目を抜くような商売の世界で、金十郎の善良さは帰って仇になりました。
このことが原因で稲垣家は一気に零落します。一家の住まいは城下町の外れに移り、養女であるセツは成績が大変優秀であったにも関わらず、小学校下等科(3年)を修了しただけで上等科へ進学することはできませんでした。
家計は小泉セツと妻・稲垣トミに任せきりに
稲垣家の家計にとって、稲垣金十郎はセツの祖父・稲垣万右衛門と同様に全く当てにならず、11才で機織りの女工となったセツと、裁縫の内職をする妻・トミが稼ぐお金で生活することになります。
結局、稲垣金十郎は、小泉セツが結婚するラフカディオ・ハーン(小泉八雲)にも生活費を頼ることになり、ハーンが島根県立尋常中学校から熊本の第五高等学校に転勤する際にもセツと一緒についていったと言われています。