小泉八雲の生涯の友・西田千太郎
34年の短い生涯だった西田千太郎
NHKの2025年後期朝ドラ「ばけばけ」で吉沢亮さん扮する錦織友一（にしこおりゆういち）のモデルとなっている西田千太郎の死因は肺結核です。西田千太郎は1897（明治30）年3月15日に34年の短い生涯を終えます。
朝ドラ「ばけばけ」の錦織友一は、第4週で決して体が丈夫ではないとことが明らかになっています。その設定は第14週以降でモデルの西田千太郎が若くして亡くなってしまったことと関係するかもしれません。
亡くなるまで交流が絶えなかった西田千太郎と小泉八雲
西田千太郎とは、小泉八雲（ラフカディオ・ハーン）が日本において公私ともに最も信頼を寄せた友人です。
「小泉八雲は松江の人」というイメージがあるかもしれませんが、54年の生涯において松江に滞在したのは約1年4ヶ月です。1891（明治24）年8月に松江で小泉セツと結婚したのちは、熊本・神戸・東京と住まいを移します。
しかし、1897年に西田千太郎が亡くなるまで小泉八雲と西田千太郎の手紙のやり取りが絶えることはありませんでした。「父小泉八雲」を記した小泉一雄（小泉八雲の長男）はその著作の中でこう述べています。
父は明治二四年十一月熊本へ転勤し、満三年後神戸へ移り、明治二九年八月ついに東京へ出たが同三十年西田氏逝去の頃までもなお両者の交通は絶えず、何かにつけて互いに問いつ答えつしている。
小泉一雄. 父小泉八雲 後篇 (p. 9). (Function). Kindle Edition.
「少しの卑怯者の心がなかった」西田千太郎 – 小泉八雲による人物評
命が尽きるまでの付き合いを行なっていたため、小泉八雲は西田千太郎の死を大変悼んだと言われています。
小泉八雲の妻である小泉セツは、在りし日の小泉八雲との結婚生活を述べた「思ひ出の記」でこのように語っています（引用の文章は「小泉八雲 ラフカディオ・へルン」に収録されている「思ひ出の記」から）。
「利口と、親切と、よく事を知る、少しも卑怯者の心ありません、私の悪い事、皆言うてくれます、本当の男の心、お世辞ありません、と可愛らしいの男です」お気の毒な事にはこの方は御病身で始終苦しんでいらっしゃいました。「唯（ただ）あの病気、如何に神様悪いですね – 私立腹」などと言っていました。又「あのような善い人です、あのような病気参ります、ですから世界むごいです、なぜ悪き人に悪き病気参りません」東京に参りましても、この方の病気を大層気にしていました。
田部隆次. 小泉八雲 ラフカディオ・ヘルン (中公文庫) (Function). Kindle Edition. No. 3166
生涯、西田千太郎のことを忘れなかった小泉八雲
1903（明治36）年、小泉八雲はそれまで教鞭を執っていた東京帝国大学文科大学（現在の東京大学文学部）を退職し、1904（明治37）年3月に早稲田大学の講師として迎えられます。
八雲は早稲田大学のことを大変気に入ってたようですが、その理由の1つが当時の早稲田大学の総長であった高田早苗の風貌がどことなく、亡くなった西田千太郎に似ていたことです。
八雲の晩年に出会った高田早苗が、西田千太郎のことを思い出させると言う話は、気難しかった小泉八雲が生涯にわたって西田千太郎に心を許していたことが分かるエピソードでしょう。
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西田千太郎とはどんな人物だったのか？
西田千太郎は松江藩の足軽の家系に生まれた人物で、かなり苦労を重ねて世に出たと言う人物です。どういった人物だったかについては下記の記事を参考にしてください。
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