やなせたかしさんと肝臓がん
心不全の原因
漫画家でアンパンマンの産みの親である、やなせたかしさんの死因は心不全です。2013年10月13日に94才で逝去されました。
ですが「心不全」という発表された死因には、2013年6月に見つかった肝臓がんの影響が大きかったと考えられます。
膀胱から転移した肝臓がん
2013年6月に撮影したCTで、やなせたかしさんの体から膀胱から転移した肝臓がんが発見されます。
当初は肝臓の数値は平均値のまま問題がなかったようですが、10月になって急に異常な値を示すようになったと、やなせたかしさんの秘書であった越尾正子さんが「慟哭の海峡」で語られています。
ところが、そうなると、普通は肝臓の数値が上がるらしいですけど、全然上がらなかったんです。そして十月の初めまで肝臓の数値は平均値のままでした。ところが、ひゅっと、いきなり上がり出してしまいました。お医者さんは、今はずっと平行線を辿っているけれども、いつ、ガクッと何かのバランスが崩れるかわからない。そうなると、だめかもしれない、と仰ったんですね。しかし、先生自身は、見た目は元気でいるから、それがいつになるのか、というのがまったくわかりませんでした。
門田隆将「慟哭の海峡」角川書店 301ページから302ページ
やなせたかしさんの最晩年
94才のやなせたかしさんの健康状態
やなせたかしさんは著作の「アンパンマンの遺書」が、2013(平成25)年の94才のときに、岩波現代文庫で文庫化されたとき、「あとがき」に代えてこのようなメッセージを残されています。
ぼくは病気がちになり入院退院また入院。救急車で運ばれること十五回、二年間でオペ十二回というメチャクチャなことになり、何度も死線をさまよい、現在は視力・聴力・気力・体力すべて衰えて、それでも仕事は忙しくてヘトヘトになりながら生きているのは哀れである。
やなせ たかし. アンパンマンの遺書 (岩波現代文庫) (pp. 239-240). (Function). Kindle Edition.
やなせたかしさんは膀胱がんや肝臓がん以外にも、すでに体のあちこちで衰えを感じられていたようです。そのせいかやなせさんは病院以外の場面でも「死ぬよ、死ぬよ」と秘書である越尾さんに洩らしていたと言います。
やなせたかしさんの最期は「大往生」
ただやなせたかしさんは臨終の際、大きな苦しみはなく、「大往生」と言える状態でした。「慟哭の海峡」で医師に臨終を告げられた越尾さんはこのように語られています。
全然、苦しむこともなくて、先生は亡くなったです。、”越尾さん、死ぬよ”と先生が言ってから、まだ十数時間しか経っていなかったと思います。普段から先生は、しょっちゅう、”死ぬよ、死ぬよ”と言っていたので、私が、またそんなこと言ってしまったのが残念なんです。本当に先生が亡くなると思っていれば、もっと別の対応ができたのに、と思うんです。あまりにも急だったので、私、何もできなかったんです…。
門田隆将「慟哭の海峡」角川書店 306ページ
やなせたかしさんが亡くなったのは2013年10月13日です。朝ドラ「あんぱん」のヒロイン・朝田のぶ(今田美桜)のモデルとなった妻・小松暢さんが1993年11月22日に他界されてから、20年近くが経過していました。
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