朝ドラ あんぱんにおける「ボウフラ」のセリフについて
黒井先生が「ボウフラ」に込めた意味とは
NHKの2025年朝ドラ「あんぱん」の第5週「人生は喜ばせごっこ」で、女子師範学校の体育科教師・黒井雪子(瀧内公美)が学生の小川うさ子(志田彩良)に向かって「ボウフラ」というきついセリフを投げかけます。
「ボウフラ」というのはそのまま理解すると「蚊の幼虫」のことですが、薙刀の授業で他の学生に遅れをとる小川うさ子に対して黒井先生が叱咤激励をする言葉でもあります。「自分の小ささを自覚して謙虚に励め」という意味でしょう。
朝田のぶ(今田美桜)はうさ子を庇うために、黒井先生と仕合をすることになりますが、薙刀をあっさりと弾かれます。そして再び「あなたは実に弱い。ボウフラさえ守ることができない」と黒井先生のセリフ。
「ボウフラたち」に教育勅語を暗唱させる黒井先生
そもそも黒井先生は、朝田のぶや小川うさ子たち女子師範学校の新入生の前で、教育勅語を暗唱して「御国に尽くせ」と叱咤しています。
「学を修め、業を習い、以て智能を啓発し、徳器(とっき)を成就し、進んで公益を広め、世務(せいむ)を開き、常に国憲を重んじ国法に遵(したが)い、一旦緩急あれば義勇公に奉じ、以て天壌無窮(てんじょうむきゅう)の皇運(こううん)を扶翼すべし!」
現在の日本では考えられないような強烈な学校の先生だけに、朝ドラ「あんぱん」の視聴者の方も「ボウフラ」のセリフと瀧内公美さんの演技に目が釘付けとなるでしょう。
「ボウフラ」は「あんぱん」の前半を象徴するセリフ
ただこうした黒井先生の軍国主義を旨とする教育方針は、小川うさ子だけでなく、朝田のぶの前半生にも大きな影響を与えます。
東京高等芸術学校に進学して、東京の自由な気風に馴染んでしまった柳井崇(北村匠海)と次第に反りが合わなくなり、ついには若松次郎(中島歩)という別の男性と最初の結婚をすることになるのです。
朝ドラ「あんぱん」は、第12週「逆転しない正義」まで日本が太平洋戦争に敗戦するまでの時代を描きます。黒井雪子先生が使う「ボウフラ」というセリフは、「あんぱん」の前半の物語を象徴するセリフの1つであると言えるでしょう。
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