朝ドラ ばけばけ ヘブン役はトミー・バストウ 小泉八雲がモデル
2025年後期に放送される朝ドラ「ばけばけ」でトミー・バストウさんが扮するヘブンとはヒロイン・松野トキ(髙石あかりさん)の夫のことで、ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)がモデルとなっています。
トミー・バストウさんのプロフィール
1991年8⽉26⽇⽣まれ、イギリス出⾝。
2007年、ロックバンドFranKoを結成し、リードボーカルとして現在も活動中。
2008年、「ジョージアの⽇記/ゆーうつでキラキラな毎⽇」でメジャー映画に初出演し、イギリスで俳優としてのキャリアをスタートする。
2018年よりアメリカにも活動を広げる。
主な出演作に、ソニー・ピクチャーズ映画、ケリーマディソン監督による「ネバー・バックダウン/⾃由への反乱」(2021)、TVドラマ「Man in an Orange Shirt」(2017/BBC)、ハイ・コンセプトSFシリーズ「The Crossing/未来からの漂流者」(2018/ABC)、⽇独合作の「ザ・ウィンドウ」(2022/ZDF・フジテレビ)など。
2024年エミー賞受賞ドラマ「SHOGUN将軍」にて、メインの⼀⼈であるマルティン・アルヴィト司祭役を演じ、注⽬される。
10年間ほど⽇本語を学んでおり、⽇本語が堪能である。『ばけばけ』ヒロインの夫・ヘブン役(モデル/小泉八雲)はトミー・バストウさん! NHKドラマブログより
ばけばけの「ヘブン」は「ヘルン」から
ところで「ラフカディオ・ハーン」をモデルとしているのにも関わらず、なぜ朝ドラ「ばけばけ」ではトミー・バストウさんの役名は「ヘブン」としているのでしょうか?
小泉八雲は日本の戸籍を取得する前に名乗っていた名前は、「Lafcadio Hearn」であり日本語で表記すると「ラフカディオ・ハーン」となります。
「ハーン」ではなく「ヘルン」と間違って書かれた辞令
しかし小泉八雲が1890(明治23年)に島根県尋常中学校の英語教師として赴任したときに、文部省から交付された辞令には「ハーン」という文字はなく、「ヘルン」と書かれていました。
「ハーン」と書くべきところを「ヘルン」と書かれていたので、文部省の方が間違っていたのですが、交付をされた小泉八雲はこの呼び方を大変気に入ったそうです。
田渕久美子さんが小泉八雲と小泉セツ(「ばけばけ」小泉セツのモデル)が松江で出会い、熊本に引っ越すまでの生活を描いた小説の「ヘルンとセツ」では、小泉八雲が松江に赴任したときに「ハーン先生」ではなく「ヘルン先生」と呼ばれたときの状況をこのように描写しています。
「ヘルン先生。この度は、このような辺鄙な土地によくおいでくださいました」
「ヘルン?この方はハーンさんですが」
真鍋の言葉に、役人が慌てて文部省からの辞令を見るが、やはりそこには「ラフカヂオ・ヘルン」とある。どうやら手違いがあったらしい。
「違います、ラフカディオ・ハーン先生です」
なおも真鍋が言い、ハーンが止める。「いいよ、ヘルンで」
「しかし」
「いいんだよ」
まったく腹は立たなかった。むしろ、この土地の人々に大いに好感を持っていた。田渕久美子「へルンとセツ」 NHK出版 101ページ より
思ひ出の記 小泉セツの手記でも「ヘルン」
また小泉八雲と13年8ヶ月の間、寄り添うこととなった小泉八雲の妻・小泉セツは、八雲の死後に「思ひ出の記」というタイトルの手記を1914(大正8)年に発表し、在りし日の夫婦生活を語っています。
その中でも夫のことは「ハーン」と書かずに「ヘルン」と書いています。その「思ひ出の記」の書き出しはこう書かれています。
ヘルンが日本に参りましたのは、明治二十三年のことでございました。ついて間もなく会社との関係を絶つたのですから、遠い外国で便り少い独りぽつちとなつて一時は随分困つたらうと思はれます。
長谷川洋二「八雲の妻 小泉セツの生涯」 今井書店 309ページ より
「思ひ出の記」では小泉八雲のことが語られていますが、小泉セツは全て「ヘルン」と表記しています。
朝ドラ ばけばけ 関連書籍
2025年後期に放送される朝ドラ「ばけばけ」の登場人物である松野トキやヘブンのモデルとなった小泉セツ・小泉八雲に関するエピソードは下記の書籍を読むといいでしょう。