鈴木雅の母親・加藤トヨについて
鈴木雅の母・加藤トヨについて
NHKの2026年前期朝ドラ「風、薫る」で主人公の1人である大家直美(上坂樹里)のモデルは、鈴木雅(すずきまさ)(1857~1940年)さんです。
鈴木雅さんは明治時代に「トレインドナース」となり、日本で最初の派出看護婦会である「慈善看護婦会(東京看護婦会)」を設立。明治・大正期を通じて偏見の多かった看護婦という職業の確立に多大な貢献をされました。
その鈴木雅さんの母は加藤トヨ(かとうとよ)という人物で、静岡にあった徳川藩の藩士・加藤信盛(かとうのぶもり)の妻でした。
明らかになっていない加藤トヨのプロフィール
「加藤トヨが徳川藩士・加藤信盛の妻だった」という情報は、「大風のように生きて: 日本最初の看護婦大関和物語」の142ページにある記述に基づくものですが、残念ながらそれ以外に加藤トヨがどんな人物であったかは書かれていません。
また朝ドラ「風、薫る」の原案となった「明治のナイチンゲール 大関和物語」では、鈴木雅さんの父に関する記述そのものがありません。
加藤トヨが鈴木雅さんの子供たちの面倒を見ていた可能性について
ただ「明治のナイチンゲール 大関和物語」では、大関和と鈴木雅が桜井女学校(現在の女子学院)に付属する看護婦養成所の寮生活で同室になったときにこんな会話があります。
看護学校の寮は二人部屋で、二八歳の和と二九歳の雅が同室となった。二人以外の学生は、皆二〇歳前後であった。和は年齢が近い雅に親近感を覚え、二人きりになると開口一番、「鈴木さん、ご家族は?」と尋ねた。すると雅は、「大関さんこそ、ご家族は?」と聞き返す。 「私は一〇歳の息子と七歳の娘がいて、母に面倒を見てもらっています」 雅が興味なさそうに「そうですか」と言うので、何か説明が足りなかっただろうかと考え、「夫はおりません」と付け加える。 「私も似たようなものです」 雅はそれだけ言うと、荷物の整理を始めた。出会ったばかりで家族のことを問うたのは不躾だったかもしれないが、それにしても愛想がなさすぎる。和はうまくやっていけるだろうかと不安になる。
田中ひかる. 明治のナイチンゲール 大関和物語 (pp. 68-69). (Function). Kindle Edition.
看護学校の寮内で大関和は、看護学生の間、自分の子供たちであると大関六郎と大関心を、母である大関哲に面倒を見てもらっていることを言いたかったのでしょう。
そのことに対して鈴木雅は「私も似たようなものです」と答えているので、鈴木雅さんの母である加藤トヨが静岡で、鈴木雅さんの子供である鈴木良一と鈴木みつの面倒を見ていたのかもしれません。
加藤トヨと朝ドラ「風、薫る」の関係
NHKは朝ドラ「風、薫る」に登場する人物として、東京の長屋に住む大家トヨ(松金よね子)や大家キク(広岡由里子)といった、大家直美と同姓の女性たちが登場します。
しかしこれら大家トヨや大家キクといった女性たちと、加藤トヨは関係がないと考えられます。