静岡・徳川藩の藩士だった加藤信盛
鈴木雅の父・加藤信盛について
NHKの2026年前期朝ドラ「風、薫る」で主人公の1人である大家直美(上坂樹里)のモデルは、鈴木雅(すずきまさ)(1857~1940年)さんです。
鈴木雅さんは明治時代に「トレインドナース」となり、日本で最初の派出看護婦会である「慈善看護婦会(東京看護婦会)」を設立。明治・大正期を通じて偏見の多かった看護婦という職業の確立に多大な貢献をされました。
その鈴木雅さんの父は加藤信盛(かとうのぶもり)という人物で、静岡にあった徳川藩の藩士だった人物でした。
元・幕臣だったかもしれない加藤信盛
「加藤信盛が徳川藩の藩士であった」という情報は、「大風のように生きて: 日本最初の看護婦大関和物語」の142ページにある記述に基づくものですが、残念ながらそれ以外に加藤信盛がどんな人物であったかは書かれていません。
また朝ドラ「風、薫る」の原案となった「明治のナイチンゲール 大関和物語」では、鈴木雅さんの父に関する記述そのものがありません。
「静岡にあった徳川藩」というのは、明治維新後に徳川将軍家が江戸から静岡に移ったときに設立された藩です。
鈴木雅さんが1857(安政4)年に加藤信盛・トヨ夫妻の長女として誕生したときには、加藤信盛は幕臣として徳川将軍家の旗本か御家人だったことも考えられます。
鈴木雅を女学校に通わせ陸軍少佐に嫁がせた加藤信盛
このように鈴木雅さんの父・加藤信盛がどういう人物であったかはまだ明らかになっていません。
しかし鈴木雅さんを女学校(日本婦女英学校またはフェリスセミナリー)に通わせ、鈴木良文陸軍少佐に嫁がせていた事実を踏まえると、家族に対して経済的に安定した生活を送ることができるよう努力していた人物だったのではないかと想像できます。
加藤信盛と朝ドラ「風、薫る」の関係
なお朝ドラ「風、薫る」で鈴木雅さんのモデルとなった大家直美は「孤児」で、牧師の吉江善作(原田泰造)が育てたという設定です。
この吉江善作は、大関和さんの「生涯の師」と言える牧師・植村正久がモデルであり、加藤信盛とは関係がないと考えられます。