記事の要約
風、薫る 亀吉のネタバレと史実まとめ
- 朝ドラ「風、薫る」の奥田亀吉(三浦貴大)のモデルとなった渡辺福之進豊綱は1880(明治13)年に妻・大関和(一ノ瀬りんのモデル)さんによって離婚される
- 渡辺福之進豊綱は黒羽藩における「維新の功労者」を自認しているが「功労者」となれたのは第15代藩主の大関増裕や大関弾右衛門(一ノ瀬信右衛門のモデル)が行った財政改革の成果に依るところが大きい
- 「明治のナイチンゲール 大関和物語」では大関和さんの夫の名前を「黒田豊之進福綱」としているが仮名である可能性が高い
渡辺福之進豊綱の離婚エピソード
大関和から離婚される
たとえ5人の妾を囲っていても渡辺福之進豊綱は、黒羽における渡辺家と大関家の力関係から、妻・大関和さんから離婚を切り出されることはないと踏んでいました。
「考えてもみよ。お前の父上の弾右衛門殿は、知ってのとおり失脚してしまわれたのだ。わが渡辺家は先の戦争には手柄を立てさえしている。お前の家の名誉を回復するうえからいえば、これほど周囲を説得できることに役立つ仕儀もないであろうが」
ところが福之進の意に反して、大関和さんは離婚を決意。1880(明治13)年に実家で出産したばかりの長女の大関心さんだけでなく、母・大関哲(「風、薫る」の一ノ瀬美津のモデル)、妹・大関釛(一ノ瀬安のモデル)さんも伴って東京へ移住します。
当時の黒羽では大関家は「賊軍」、渡辺家は「維新の功労者」という扱いを受けていたため、地元に残ればどんな誹謗中傷を受けるかわかりません。そのため大関和さんは一家揃って故郷を出て行くことを決めたのでした。
長男・六郎の親権は大関和に
しかし、東京に移住した大関和さんは、黒羽の渡辺家に長男・六郎さんを残していました。この幼い男の子の親権をめぐっては大関和さんと渡辺福之進豊綱の間で一悶着があったようです。
朝ドラ「風、薫る」の原案となった「明治のナイチンゲール 大関和物語」では、大関家と渡辺家の間で、六郎さんの奪い合いが始まり、最終的に六郎さんが大関和さんのもとに落ち着くまでに、1年の時間を要したとあります。
渡辺福之進豊綱の史実
「黒羽藩における維新の功労者」とは誰だったのか?
戊辰戦争(1868年1月~1869年5月)当時、大関和さんの父・大関弾右衛門は黒羽藩の国家老として会津戦争(1868年5月~6月)の直前まで「佐幕」の意向を示したのに対して、渡辺福之進豊綱は「勤皇」の立場で黒羽藩から洋式化された軍隊を率いて新政府軍に味方。
その福之進は会津戦争における激戦の1つと言われる「白河口の戦い」に黒羽藩の二番隊を率い小隊長として参戦していました。
このことから明治維新後の黒羽では「大関家は賊」で「渡辺家は維新の功労者」というイメージがついてまわり、「地元の英雄」である渡辺福之進豊綱と離婚した大関和さんは、夜逃げ同然で生まれ故郷を離れなければなりませんでした。
しかし1万8,000石の領地しか持たなかった外様大名の黒羽藩が、徳川将軍家の親藩の1つである会津藩を攻撃できるだけの武力を持つことができたのは、1863(文久3)年から行われた黒羽藩内で行われた財政改革による成果によるものが大きかったでしょう。
実はその財政改革を主導したのは、佐幕派であった第15代藩主の大関増裕で、その「実働部隊」となったのは硫黄の採掘と販売の事業を指揮した大関弾右衛門増虎でした。
「大風のように生きて: 日本最初の看護婦大関和物語」の渡辺福之進豊綱は、「先の戦争で手柄を立てた」と離婚を切り出す大関和さんの前で凄んでいます。
戊辰戦争は欧米列強から輸入した高価な小銃(スナイドル銃・ミニエー銃など)や大砲(アームストロング砲・ガトリング砲など)が、勝敗の行方を左右していました。
戦後に新政府軍から感謝状が贈られるほど活躍した黒羽藩の兵士たちが手にしていた強力な銃や砲は、大関増裕は大関弾右衛門増虎の藩政改革の成果によって手にできたものです。
そのことを踏まえると渡辺福之進豊綱だけが、「維新の功労者」として手柄顔をすることは認識が足りないと言わざるを得ません。
大関和さんの夫の名前について
なお、朝ドラ「風、薫る」の原案となっている「明治のナイチンゲール 大関和物語」では大関和さんの元夫は「黒田豊之進福綱」と表記されています。
同書は一部の登場人物については仮名としていることから、正確には大関和さんの元夫の名前とは「渡辺福之進豊綱」となるでしょう。
「黒田豊之進福綱」ではなく「渡辺福之進豊綱」の方が正しいとする理由は、「大風のように生きて: 日本最初の看護婦大関和物語」で使われている上、さらに大田原市の地域史料である「黒羽藩転戦記」において「渡辺福之進」という名前が見られることにあります。
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風、薫る 亀吉 どうなる 参考文献
なお今回の記事を作成するにあたって、下記の文献を参考にしています。これらのうち「明治のナイチンゲール 大関和物語」はNHKの朝ドラ「風、薫る」の原案となっている本です。
