結論:清水卯三郎は実在の商人がモデル
朝ドラ「風、薫る」の第2週10話で、主人公・りん(見上愛)の悩みを聞いた紳士(坂東彌十郎)は、「瑞穂屋卯三郎」の名刺を渡してその住所を訪ねるようアドバイスをしてくれました。
この「瑞穂屋卯三郎」を名乗る紳士は、明治時代初期に実在した商人・清水卯三郎です。
実在した清水卯三郎は、明治時代初期に西洋の政治思想や科学技術に関する書籍を扱う「瑞穂屋」という書店を東京・浅草で営んでいました。
ただNHKの朝ドラ「風、薫る」はフィクションであるため、実在した清水卯三郎をもとに創作が加えられているでしょう。
瑞穂屋(みずほ屋)卯三郎とは何者か
瑞穂屋の意味(屋号・商号)
朝ドラ「風、薫る」の第2週10話で、りんが紳士から受け取った名刺は表には「瑞穂屋卯三郎」と漢字で書かれ、裏には”MIDSUHOYA OUSABURO” とアルファベットの文字が印刷されています。
翌日りんが訪ねた「瑞穂屋」は、店の看板やのれんに「西洋書類・西洋小間物・萬舶来品・土産物」と書いていることから欧米からの輸入品を扱う店であることが分かります。
実在した清水卯三郎も西洋の書籍を扱う「瑞穂屋」を営んでいたことから、朝ドラ「風、薫る」に登場する「瑞穂屋(みずほ屋)」とは主に輸入品を扱う店の屋号もしくは商号であることが分かるでしょう。
日本橋の商人としての活動
朝ドラ「風、薫る」のガイドブックである「連続テレビ小説 風、薫る Part1 NHKドラマ・ガイド」に掲載されている「あらすじ」のうち第3週のくだりにおいて瑞穂屋の店の中について、このように描写されています。
日本橋(にほんばし)にある瑞穂屋は、見たことのない洋書や舶来品が並ぶ不思議な店だった。
さらに店内にいる客を見ると外国人の客が多いと記されています。
このことから「風、薫る」に登場する瑞穂屋卯三郎は、東京・日本橋で「西洋書類・西洋小間物・萬舶来品・土産物」を扱い、日本人ばかりでなく外国人を客にする商人であることも分かるでしょう。
西洋技術・医学との関わり
「風、薫る」の瑞穂屋卯三郎は、実在した清水卯三郎のように、西洋技術・医学に関する書籍を扱っているかどうか、「風、薫る」のガイドブックに掲載している「あらすじ」を読むだけでは分かりません。
一方、そのあらすじによると、主人公であるりんと直美(上坂樹里)は、第5週以降にトレインドナースの道を志して「梅岡女学校附属看護婦養成所」に入学することや、りんの幼なじみである竹内虎太郎(小林虎之介)が、第12週以降に銀座の製薬会社に勤めることになっています。
その展開を考えると、瑞穂屋卯三郎が西洋技術や医学、さらには看護学に関わる書籍を扱っていても不思議ではありません。
清水卯三郎の史実(実在人物)
生涯(出身〜活動)
実在した清水卯三郎は、1829(文政12)年、武蔵国埼玉郡羽生村(現在の埼玉県羽生市)で誕生。
横浜で英語を学び、1863(文久3)年に勃発した薩英戦争では英国側の通訳として和平に尽力。1867 (慶応3)年にフランスで開催されたパリ万国博覧会では、日本人唯一の商人として参加するなど、幕末の外交・貿易で活躍しました。
歯科医学・出版への貢献
明治維新後の清水卯三郎は東京・浅草で「瑞穂屋」という書店を開業し、欧米の技術、学問を目にした経験を生かして実業家として活動。また、かな文字論者としても知られ、「明六社」のメンバーとしてひらがなの普及を主張しました。
「瑞穂屋」では、主に西洋の政治思想や技術(薬の技術・花火の作り方)、歯科医学などに関する本を発刊していました。
「風、薫る」での清水卯三郎
坂東彌十郎の役どころ
「風、薫る」の公式ガイドブックは、「瑞穂屋卯三郎」こと清水卯三郎を演じる坂東彌十郎さんの役どころを以下のように紹介しています。
上京したりんが出会う謎の紳士。正体は東京・日本橋で舶来品などを扱う瑞穂屋の主人。やがてりんや直美と深く関わるようになる。
坂東彌十郎さん演じる清水卯三郎は、第3週以降に見上愛さん演じるりんと、上坂樹里さん演じる直美との関わりが多くなりそうです。
名刺シーンの意味(瑞穂屋)
清水卯三郎が登場する「風、薫る」の第2週10話では、那須の奥田家を飛び出したりんが、母娘2人で暮らすために東京の街中を歩いて必死で仕事を探します。
しかし、身元を明らかにしたくないりんはどの店を訪ねても不採用ばかり。そんなとき清水卯三郎が現れて、自分の店を訪ねてくれるよう言ってくれました。
そのとき卯三郎が差し出した「瑞穂屋卯三郎」の名刺は、「主人公に助け舟を出したよ!」ということを視聴者に印象づけるドラマ制作者の意図があったのかもしれません。
第3週以降の展開予想
第3週では清水卯三郎はりんを月3円の給料で雇い、「瑞穂屋」が管理している長屋の一室を使って住み込みで働いても良いという破格のオファーを出してくれます。
そんな「瑞穂屋」の店員となったりんは、外国語に精通する島田健次郎(佐野晶哉)という青年と出会うことに。
「風、薫る」の公式ガイドブックを読むと、「瑞穂屋」はりんと直美が様々な人たちと出会う「舞台」となっていることが分かります。
こうしたことから清水卯三郎は、りんや直美の人生にとって「案内人」となることが予想されます。
清水卯三郎は実在?創作?
史料から分かること
「風、薫る」の公式ガイドブックにおいて、自身の役について取材を受けた坂東彌十郎さん自身が、清水卯三郎は実在した人物であることを明言されています。
島田健次郎さんは実在した人で、史実では早くから英語を習得し、1867年のパリ万国博覧会にも行ったという方。
また、埼玉県立文書館が清水卯三郎は埼玉県出身の人物であることを紹介していることから、清水卯三郎が実在の人物であったことは間違いないでしょう。
不明点と考察
埼玉県立文書館が紹介している通り、清水卯三郎は明治時代初期の人物で、西洋の文物に明るかったとして知られています。
ただ後述するように、「風、薫る」の主人公・一ノ瀬りんと大家直美のモデルである大関和さんと鈴木雅さんと清水卯三郎の間に、どのような人間関係があったかは不明です。
大関和との関係はある?
結論:史実上の接点は確認されていない
この記事を書くにあたって、大関和さんの伝記である「明治のナイチンゲール 大関和物語」や「大風のように生きて: 日本最初の看護婦大関和物語」など数冊の本を読みました。
しかしどの本を読んでも「清水卯三郎」・「瑞穂屋卯三郎」・「瑞穂屋」という単語は登場しません。
詳細は関係記事へ(内部リンク)
果たして実在した清水卯三郎は大関和さんと何らかの交流や接点があったのでしょうか?清水卯三郎と大関和さんの繋がりについては下記の記事で考察しています。ぜひ参考にして下さい。
よくある疑問
みずほ屋卯三郎とは?
Google検索でサジェストされる”みずほ屋卯三郎”とは、NHKの朝ドラ「風、薫る」の登場人物で、坂東彌十郎さんが演じる清水卯三郎のことです。
清水卯三郎は何をした人?
清水卯三郎は明治時代初期の日本に実在した人物です。明治維新後に東京・浅草で「瑞穂屋」という書店を開業し、主に西洋技術や医学に関わる洋書を輸入・販売していました。
モデルは実在する?
「風、薫る」に登場する清水卯三郎(瑞穂屋卯三郎)は、明治時代初期に実在した清水卯三郎本人です。
風、薫る 全話あらすじと最終回までのネタバレ
風、薫る 全話あらすじ
朝ドラ「風、薫る」のあらすじ全話まとめ・登場人物とキャスト・モデル人物・相関図を知りたい方は、下記の記事が参考になるでしょう。
風、薫る 最終回までのネタバレ
また「風、薫る」の最終回までのネタバレ・史実解説・家系図・結末などを知りたい方は下記の記事を参考にしてください。
清水卯三郎のモデルは誰? 関連記事と参考文献
清水卯三郎のモデルは誰? 関連記事
朝ドラ「風、薫る」では、主人公の一ノ瀬りんや大家直美を始めとして、実在した人物をモデルとしている登場人物がいます。
そのモデルがある登場人物については下記の記事が参考になるでしょう。
清水卯三郎のモデルは誰? 参考文献
朝ドラ「風、薫る」に登場する「瑞穂屋卯三郎」こと清水卯三郎に関する記事を書くために参考とした文献は、以下の通りです。
- 田中ひかる 明治のナイチンゲール 大関和物語 (中公文庫)
- 亀山美知子 大風のように生きて: 日本最初の看護婦大関和物語 ドメス出版
- 亀山美知子 「女たちの約束: M.T.ツル-と日本最初の看護婦学校」ドメス出版
- 宮田茂子 《新装版》「大関和」を通して見た日本の近代看護【真説】国家的セクハラを受けた職業集団 星湖舎
- 吉瀬智子 連続テレビ小説 風、薫る Part1 NHKドラマ・ガイド NHK出版
