朝ドラ「ブラッサム」で北野秀気さんが演じる左良太(ひだりりょうた)。
左良太は大阪出身の文学好きの青年で、主人公・葉野珠(石橋静河)との出会いをきっかけに創作へ挑み、作家を志します。
モデルは公表されていませんが、宇野千代(1897-1996年)と親しく交流した小説家・梶井基次郎(1901-1932年)の可能性があります。
この記事では、左良太の役どころや梶井基次郎との共通点、小説家・川端康成(1899~1972年)がモデルである可能性について解説します。
▼要点まとめ
・左良太(北野秀気)は大阪出身の文学好きの青年
・珠(石橋静河)との出会いをきっかけに作家を志す
・モデルは梶井基次郎の可能性がある
・梶井基次郎も大阪出身で宇野千代と交流した
・川端康成もモデル候補の一人
・左良太を演じるのは北野秀気さん
→ 青年期の葉野珠(石橋静河)とは?
→ 宇野千代とは?
→ 宇野千代と梶井基次郎の関係
結論|左良太とは?
左良太(北野秀気)は、朝ドラ「ブラッサム」に登場する大阪出身の文学好きの青年です。
主人公・葉野珠(石橋静河)との出会いをきっかけに創作へ挑み、作家を志すようになります。
NHKはモデルを公表していませんが、宇野千代(1897-1996年)と親しく交流した、小説家・梶井基次郎(1901-1932年)との共通点があります。
一方、川端康成(1899~1972年)も大阪出身の小説家で、宇野千代と交流した作家であるため、複数の文学者の要素を取り入れた人物の可能性もあります。
→ 青年期の葉野珠(石橋静河)とは?
→ 宇野千代とは?
→ 宇野千代と梶井基次郎の関係
左良太の役どころ
大阪出身の文学好きの青年
左良太は大阪出身の文学好きの青年です。
NHKでは、
「大阪出身の文学好きの青年。珠との出会いを機に創作へ挑み、作家を志すようになる。」
と紹介されています。
もともと文学を好んでいるものの、珠と出会ったことで自ら小説を書く側へ進んでいく人物です。
宇野千代をモデルとした「ブラッサム」では、東京編に入ると珠がさまざまな作家や編集者と出会い、本格的に文学の世界へ入っていきます。
左良太も、珠とともに文学の世界を歩んでいく若者の一人として描かれるのでしょう。
珠との出会いをきっかけに作家を志す
左良太の人物設定で特に重要なのが、
「珠との出会いを機に創作へ挑み、作家を志すようになる。」
という部分です。
左良太が一方的に珠へ影響を与えるのではなく、珠との出会いによって左自身の人生も変わることになります。
NHKの制作統括・村山峻平さんは、今回発表された人物について、珠が彼らとの出会いを通して文学の世界に触れたり、ものを書くことに没頭したりしながら、新しい自分を発見すると説明しています。
珠と左良太が互いにどのような影響を与えながら作家を目指していくのかにも注目です。
東京編で珠と出会う
左良太は東京で珠が出会う人物として発表されています。
宇野千代は札幌で小説「脂粉の顔」が時事新報の懸賞小説に入選した後、東京へ戻り、作家として本格的に活動するようになりました。
東京では尾崎士郎をはじめ、多くの文学者との交流を深めていきます。
ドラマでも左良太は、珠が東京で文学の世界へ踏み出していく過程で関わる人物になりそうです。
左良太を演じる北野秀気さん
ブラッサム 左良太役 北野秀気
左良太を演じるのは俳優の北野秀気さんです。
NHK連続テレビ小説には「虎に翼」「ばけばけ」に出演しており、「ブラッサム」でも東京編に登場します。
北野秀気さんが演じる左良太は大阪出身という設定のため、劇中では関西弁を話す人物になるようです。
北野秀気さん コメント
北野秀気さんは「ブラッサム」への出演について、
「僕、朝ドラには、おはようって言いまくる役か関西弁を話す役で出たいなと思ってました。片方できました。」
とコメントしています。
さらに、
「やりたい事って無限に出てきたら幸せやなと思ってます。ほんで、欲張って全部やって、おもろいを探せたら心も幸せやなぁって。」
と、左良太の人物像を思わせる言葉を残しています。
左良太のモデルは梶井基次郎か
左良太は「ブラッサム」のオリジナルキャラクターで、現時点でNHKは実在するモデルを公表していません。
しかし、左良太の出身地や文学好きという人物設定、宇野千代の交友関係などを比較すると、小説「檸檬」などで知られる梶井基次郎との共通点があります。
共通点① 梶井基次郎も大阪出身
左良太は「大阪出身の文学好きの青年」と設定されています。
梶井基次郎も1901(明治34)年、大阪市に誕生。
幼少期には父親の転勤などで各地を移り住みましたが、大阪に生まれた文学者という点では左良太と一致します。
宇野千代と交流した著名な作家は数多くいますが、「大阪出身」という条件を加えると、梶井基次郎は有力な候補の一人になります。
共通点② 理科に進みながら文学に傾倒した文学青年
梶井基次郎は文学とは直接結びつかない進路を歩んだ人物でもあります。
旧制第三高等学校では理科甲類に進学し、文学とは直接結びつかない理系の進路を歩んでいました。
その一方で文学に傾倒し、小説を書くことにも熱中していました。
左良太もNHKから「文学好きの青年」と紹介されています。
単に職業として作家を目指しているのではなく、文学そのものを好む若者として設定されている点は梶井基次郎を思わせます。
共通点③ 宇野千代と親しく交流した
梶井基次郎は宇野千代と実際に交流した文学者です。
1927(昭和2)年頃、宇野千代は夫・尾崎士郎とともに伊豆・湯ヶ島温泉を訪れ、川端康成の紹介によって梶井基次郎と知り合いました。
宇野千代は後年、梶井の第一印象を、
「骨っぽい印象の、精悍な若者」
だったと回想しています。
さらに宇野千代は梶井の代表作「檸檬」を読み、その文学的才能にも強く惹かれました。
「生きて行く私」では、
「私は梶井の話も、その書くのも好きなのであった」
と回想しています。
宇野千代と梶井基次郎の間には恋人だったのではないかという説もありますが、宇野千代本人は男女関係を明確には認めていません。
2人の詳しい関係については別記事で紹介しています。
左良太と梶井基次郎の違い
一方、左良太と梶井基次郎には大きな違いもあります。
それが「作家を志した時期」です。
梶井は宇野千代と出会う前から小説を書いていた
NHKは左良太について、
「珠との出会いを機に創作へ挑み、作家を志すようになる。」
と説明しています。
つまりドラマでは、珠との出会いが左良太を創作へ向かわせる大きなきっかけになります。
しかし史実の梶井基次郎は違います。
梶井は宇野千代と出会う以前から文学活動を行っており、1925(大正14)年には同人誌「青空」に代表作「檸檬」を発表していました。
宇野千代が梶井と知り合った1927年頃には、すでに文学青年として創作活動を続けていたことになります。
したがって、
・珠との出会いをきっかけに創作を始める → 左良太
・宇野千代と出会う以前から創作していた → 梶井基次郎
という違いがあります。
左良太は梶井基次郎をそのままドラマ化した人物ではないと考えたほうがよさそうです。
左良太のモデルは川端康成の可能性も?
左良太のもう一人のモデル候補として考えられるのが、1968年(昭和43)年10月にノーベル文学賞を受賞した小説家・川端康成です。
川端康成にも左良太との共通点があります。
川端康成も大阪出身
川端康成は1899(明治32)年、大阪府大阪市に生まれました。
そのため、
・大阪出身
・文学青年
・小説家になる
・宇野千代と親しく交流
という点では、左良太の設定と重なります。
宇野千代と川端康成は長年にわたって交流を続けました。
宇野千代の「宇野千代全集 第4巻」にも、「二つの川端さん」「一種抽象的な川端さん」という川端康成の人物評が収録されています。
宇野千代が描いた川端康成の人物像とは違う?
一方、宇野千代が回想する川端康成の人物像は、今回発表された左良太の印象とは少し異なります。
宇野千代は川端康成について、外見から受ける印象を「世間や物事に無関心そうな人」として描いています。
もちろん外見上の印象と実際の性格は別ですが、北野秀気さんのコメントから伝わってくる左良太は、
・やりたいことに挑戦する
・「おもろい」を探す
・欲張っていろいろなことをやる
という活動的な青年を思わせます。
この点では、宇野千代が描いた川端康成の印象とはやや距離があります。
現時点では梶井基次郎の方が有力か
左良太とモデル候補を比較すると次のようになります。
| 左良太の設定・特徴 | 梶井基次郎 | 川端康成 |
|---|---|---|
| 大阪出身 | ○ | ○ |
| 文学好きの青年 | ○ | ○ |
| 宇野千代と交流 | ○ | ○ |
| 若い文学者として宇野千代と交流 | ○ | ○ |
| 珠との出会いを機に創作を始める | × | × |
現時点では梶井基次郎が有力なモデル候補の一人と考えられます。
ただし、川端康成にも「大阪出身」「宇野千代と交流した小説家」という共通点があります。そのため、左良太には梶井基次郎をはじめ、宇野千代と交流した複数の文学者の要素が取り入れられている可能性もあります。
よくある質問(FAQ)
Q. 左良太とはどんな人物ですか?
A. 左良太は朝ドラ「ブラッサム」に登場する大阪出身の文学好きの青年です。葉野珠との出会いをきっかけに創作へ挑み、作家を志すようになります。
Q. 左良太のモデルは誰ですか?
A. NHKはモデルを公表していませんが、小説「檸檬」で知られる梶井基次郎が有力候補と考えられます。梶井も大阪出身で、宇野千代と親しく交流した文学者でした。
Q. 左良太のモデルは川端康成ではないのですか?
A. 川端康成も大阪出身で宇野千代と親交があったため、モデル候補の一人と考えられます。
現時点では梶井基次郎が有力候補と考えられますが、複数の文学者の要素を組み合わせた人物の可能性もあります。
Q. 梶井基次郎と宇野千代は恋人だったのですか?
A. 2人には恋人説がありますが、宇野千代本人は男女関係を明確には認めていません。一方で宇野千代が梶井の文学的才能に強く惹かれていたことは、本人の回想から確認できます。
→ 宇野千代はなぜモテる?梶井基次郎との関係
Q. 左良太を演じる俳優は誰ですか?
A. 左良太を演じるのは北野秀気さんです。「虎に翼」「ばけばけ」に続いて朝ドラに出演します。
まとめ
左良太は、朝ドラ「ブラッサム」の東京編に登場する大阪出身の文学好きの青年です。
主人公・葉野珠との出会いをきっかけに創作へ挑戦し、作家を志すようになります。
現時点でNHKは左良太のモデルを公表していません。
しかし、
・大阪出身の文学青年
・宇野千代と梶井基次郎が実際に交流していた
・梶井が文学に傾倒した個性的な青年だった
といった点を考えると、小説「檸檬」で知られる梶井基次郎が主なモデルである可能性があります。
一方、川端康成も大阪出身で、宇野千代と長年交流した小説家という共通点があります。
また史実の梶井基次郎は宇野千代と出会う以前から創作活動をしているため、「珠との出会いを機に創作へ挑む」という左良太の設定とは一致しません。
そのため左良太は梶井基次郎をそのままモデルにした人物ではなく、梶井を中心に川端康成など宇野千代と交流した文学者の要素を組み合わせて再構成された人物なのかもしれません。
今後の放送では、左良太と珠がどのように出会い、互いに刺激を受けながら文学の世界へ進んでいくのかにも注目です。
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参考文献
今回の記事は以下の書籍を参考としています。
- 宇野千代・小林庸浩 宇野千代 女の一生 新潮社
- 宇野千代 生きて行く私 (角川文庫)
- 工藤美代子 愛して生きて-宇野千代伝 (中公文庫 く 16-9)
- 宇野千代 宇野千代全集 第12巻 随筆 中央公論新社
- 宇野千代 宇野千代全集 第4巻 中央公論新社
