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宇野千代と萩原朔太郎の関係|「馬込文士村」での交流や妻・稲子の断髪を解説

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小説家・宇野千代(1897~1996年)と詩人・萩原朔太郎(1886~1942年)は、1920年代の後半に東京・馬込(「馬込文士村」)で交流しました。

宇野千代は『私の文学的回想記』や『生きて行く私』で、萩原朔太郎と馬込の田園をよく散歩したことや、その際に交わした会話について振り返っています。

また、宇野千代の断髪を真似て萩原朔太郎の妻・稲子も髪を切り、その後、若い男性と出奔。この出来事は、宇野千代と室生犀星の人間関係にも影響を与えました。

なお、NHKの朝ドラ「ブラッサム」の10週において、萩原朔太郎をモデルにしたと考えられる、萩宮朔太郎(はぎみやさくたろう)という人物が登場します。

→ 宇野千代の人間関係 交流のあった作家や芸術家たち
→ ブラッサム 登場人物 モデル一覧
→ ブラッサム 10週 あらすじ
→ 宇野千代とは?何をした人?
→ 宇野千代の年表

目次

結論|宇野千代と萩原朔太郎は馬込で交流した文学仲間

宇野千代と萩原朔太郎は、1920年代後半に東京・馬込(「馬込文士村」)で交流した文学仲間の1人です。

『宇野千代全集 第12巻』の年譜によると、1926(大正15)年11月に萩原朔太郎が馬込へ転居。当時、宇野千代も夫・尾崎士郎と馬込で暮らしていました。

宇野千代は後年、萩原朔太郎と馬込の田園をよく散歩し、現実を離れた抽象的な世界や天体について語る朔太郎の話を聞いたことを書き残しています。

また、萩原朔太郎の妻・稲子は宇野千代を真似て断髪し、その後、若い男性と出奔しました。

宇野千代が稲子に断髪を勧めたという噂を信じた室生犀星との間には長くわだかまりが残りましたが、約40年後に二人の「しこり」は解けています。

なお、NHKの朝ドラ「ブラッサム」の10週において、萩原朔太郎をモデルにしたと考えられる、萩宮朔太郎(はぎみやさくたろう)という人物が登場します。

→ 宇野千代の人間関係 交流のあった作家や芸術家たち
→ ブラッサム 登場人物 モデル一覧
→ ブラッサム 10週 あらすじ
→ 宇野千代の年表

宇野千代と萩原朔太郎の関係

宇野千代にとっての萩原朔太郎とは、1920年代後半に東京・馬込で交流した文学仲間の1人です。

『宇野千代全集 第12巻』の年譜で萩原朔太郎の名前が登場するのは、1926(大正15)年11月です。

→ 宇野千代の年表

萩原朔太郎が1926(大正15)年に「馬込文士村」へ転居

1926(大正15)年頃の馬込には、宇野千代・尾崎士郎夫妻をはじめ、多くの作家や詩人が暮らしていました。

『宇野千代全集 第12巻』の年譜によると、同年11月には萩原朔太郎が馬込へ転居。

さらに同年の末頃には広津和郎も馬込へ移り住んでいます。

→ 尾崎士郎とは?宇野千代の3番目の夫

家族ぐるみの付き合いだった宇野千代と萩原朔太郎

後に「馬込文士村」と呼ばれるようになるこの地域で、宇野千代と萩原朔太郎は交流することに。

宇野千代が後年に書いた『生きて行く私』には、萩原朔太郎の娘・葉子がまだ7~8歳だった頃の萩原家の様子も登場。

宇野千代と萩原朔太郎は、作家同士だけでなく家族を含めて行き来する間柄だったことがうかがえます。

宇野千代と萩原朔太郎は馬込の田園をよく散歩した

宇野千代が萩原朔太郎との思い出として繰り返し書いていることが、馬込で一緒に散歩したことです。

『私の文学的回想記』で宇野千代は、

私と萩原とは、馬込の田圃の中を一緒によく散歩しました。

宇野千代 宇野千代全集 第12巻 随筆 中央公論新社 156ページ

と振り返っています。

東京といっても、当時の馬込には田園風景が残っており、二人はその中を歩きながらさまざまな話をしていました。

萩原朔太郎が語った「何千万年か後」の世界

宇野千代によると、萩原朔太郎が散歩中に話す内容は、日常生活の出来事よりも、現実を離れた抽象的な世界についてのものが多かったといいます。

ときには散歩の途中で立ち止まり、空を見上げながら天体の運行について話すこともありました。

『私の文学的回想記』には、萩原朔太郎が宇野千代に、何千万年か後にも二人が同じように馬込の田園を歩いていることがある、という趣旨の話をした思い出が記されています。

『生きて行く私』にも、これとよく似た思い出が登場します。

宇野千代は、世界で起こる出来事は時計の長針と短針が再び重なるように繰り返される、という趣旨の萩原朔太郎の言葉を後年まで記憶していました。

二つの随筆に同じような散歩の記憶を書き残していることからも、馬込で萩原朔太郎と交わした会話が宇野千代に強い印象を残していたことがわかります。

宇野千代が見た詩人・萩原朔太郎

また宇野千代は後年、萩原朔太郎の故郷である群馬県前橋市を訪れています。

その際には萩原朔太郎の詩碑の拓本を贈られ、そこに刻まれた詩について強い感銘を受けたことを書き残しました。

馬込時代から年月が過ぎた後も、宇野千代の中には詩人・萩原朔太郎に対する印象が残っていたことがうかがえます。

萩原朔太郎の妻・稲子も宇野千代を真似て断髪

宇野千代と萩原朔太郎をめぐる馬込時代の出来事として知られているのが、萩原朔太郎の妻・稲子の断髪です。

馬込村で宇野千代・萩原朔太郎夫人・川端康成夫人が相次いで断髪

大正時代の末期頃から、都会で西洋風のファッションを好む「モダンガール(モガ)」と呼ばれる女性たちの髪型として、断髪が流行していました。

『宇野千代全集 第12巻』の年譜によると、馬込村においてこの断髪を真っ先に取り入れた女性が、宇野千代。

その次に馬込村で断髪した女性が萩原朔太郎の妻である、萩原稲子でした。

さらにすでに宇野千代と親交のあった、川端康成の妻・川端秀子も2人に続いて断髪。

→ 宇野千代と川端康成の関係
→ 宇野千代の人間関係 交流のあった作家や芸術家たち

妻・稲子が若い男性と出奔

ところが宇野千代によると、稲子は髪を切った後、ダンス仲間だった若い男性と出奔。

宇野千代は『生きて行く私』の中で、髪を切ったことが悲劇の原因になるという考え方は、後の時代から見れば信じられないことだと振り返っています。

ここで注意したいのは、宇野千代が稲子に断髪を勧めたと断定することはできない点です。

宇野千代自身は、稲子が自分を真似て髪を切ったとする一方、自分が稲子に断髪を勧めたという話については「噂話」だったと記しています。

室生犀星が宇野千代に激怒

萩原朔太郎の妻・稲子の出奔は、宇野千代と詩人の室生犀星の人間関係にも影響。

室生犀星は萩原朔太郎の親友で、当時は同じく馬込に暮らしていました。

室生犀星は稲子夫人の断髪を見て宇野千代に激怒

『生きて行く私』によると、室生犀星は「宇野千代が稲子に断髪を勧めた」という噂を信じ、宇野千代に対して激怒。

それまで交流していた室生犀星は、道で宇野千代と出会っても顔をそむけるようになったといいます。

宇野千代と室生犀星の間に生じたわだかまりは、その後も長く残りました。

約40年後に室生犀星との「しこり」が解ける

ところが約40年後、室生犀星から宇野千代のもとへ一冊の本が送られてきます。

宇野千代がお礼の葉書を送ると、室生犀星から、長い間の「しこり」が解けたように感じたという趣旨の返事が届きました。

宇野千代もまた、その言葉を読んで同じような気持ちになったと『生きて行く私』で振り返っています。

萩原朔太郎の妻・稲子の断髪をめぐって生じた出来事は、宇野千代と室生犀星の関係に長く影響を残すことになりました。

→ 宇野千代の年表

ブラッサム 萩宮朔太郎のモデルは萩原朔太郎か

ブラッサム 萩宮朔太郎は10週で登場

朝ドラ「ブラッサム」の10週では、詩人の萩宮朔太郎(はぎみやさくたろう)という人物が登場します。

ドラマでの名前や知り合った時期などから、萩宮朔太郎は宇野千代と交流した詩人・萩原朔太郎を参考にした人物と考えられます。

→ ブラッサム 登場人物 モデル一覧
→ ブラッサム 10週 あらすじ
→ 葉野珠の年齢 週ごとの年代と作品

森岡稲子は萩宮朔太郎と結婚する?

「ブラッサム」には、主人公・葉野珠の女学生時代の友人として森岡稲子(華優希)が登場します。

森岡稲子は3週で女学校を卒業した後に結婚しますが、その後については現時点で詳しく明らかになっていません。

一方、史実の萩原朔太郎は、前橋文学館の説明から1919(大正8)年に上田稲子と結婚したことが分かります。

ただし、現時点で森岡稲子が上田稲子をモデルとしていることや、森岡稲子と萩宮朔太郎が夫婦になることは明らかになっていません。

ドラマには萩原朔太郎をモデルと考えられる萩宮朔太郎が登場するため、「稲子」という名前の一致は気になるところです。

今後、萩宮朔太郎が登場した際に、森岡稲子との関係が描かれるのかも注目ポイントです。

→ ブラッサム 10週 あらすじ
→ ブラッサム 女学校とは?山口第二高等女学校
→ ブラッサム 森岡稲子(華優希)とは?
→ ブラッサム 萩宮朔太郎とは?(準備中)

宇野千代 萩宮朔太郎 関連記事

萩宮朔太郎とは?

朝ドラ「ブラッサム」の10週では東京・馬込村に住む葉野珠(石橋静河)のもとに、さまざまな文士たちが集まってきます。

その中には詩人の萩宮朔太郎の姿もあります。

→ ブラッサム 萩宮朔太郎とは?(準備中)

ブラッサム モデル一覧

朝ドラ「ブラッサム」には、詩人の萩原朔太郎がモデルと考えられる萩宮朔太郎以外にも、実在した人物をモデルにしたキャラクターが登場します。

その一覧について、下記の記事でまとめています。

→ ブラッサム 登場人物のモデル一覧

ブラッサム モデル 宇野千代 関連記事

宇野千代とは?

朝ドラ「ブラッサム」の主人公・葉野珠のモデルとなった宇野千代の生涯を紹介します。

→ 宇野千代とは誰?

宇野千代の年表

宇野千代の生涯や文学者・芸術家たちとの出会いを年代順に紹介します。

→ 宇野千代の年表

宇野千代の人間関係

実在した宇野千代が交流した代表的な文学・芸術関係者については、下記の記事でまとめています。

→ 宇野千代の人間関係 宇野千代と交流があった作家・芸術家

ブラッサム 作品紹介

朝ドラ「ブラッサム」とは?

作品概要やキャスト、主人公・葉野珠のモデルとなった宇野千代について紹介します。

→ 朝ドラ「ブラッサム」とは?

ブラッサム 萩宮朔太郎が登場する週

詩人・萩原朔太郎がモデルと考えられる「ブラッサム」の萩宮朔太郎は10週で登場します。

→ ブラッサム 10週 あらすじ

ブラッサム あらすじ

朝ドラ「ブラッサム」の最新週から1週までのあらすじを随時更新します。

→ ブラッサム あらすじ 最新週から1週まで

ブラッサム ネタバレ最終回まで

朝ドラ「ブラッサム」の最終回までの展開や主要人物の結末について紹介します。

→ ブラッサム 最終回までの展開や主要人物の結末

参考文献

今回の記事は以下の書籍を参考としています。

著:宇野 千代, 著:小林庸浩 ほか, 著:小林庸浩 ほか
KADOKAWA
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著:工藤美代子
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